評価の種類
1. 介護サービス評価
介護サービス評価は、公益社団法人かながわ福祉サービス振興会が独自の手法で実施している評価です。事業所自己評価と利用者評価から構成されています。
(1)自己評価とは
自己評価とは、事業所が提供するサービスの質を事業所自らが評価することをいいます。 自己評価については、介護保険法第73条に、「指定居宅サービス事業者は、自ら提供するサービスの質の評価を行い、良質なサービスを提供すること」と定められています。居宅介護支援については第80条、介護老人福祉施設については第87条、介護老人保健施設については第96条、介護療養型医療施設については第109条に同様の規定が定められています。
(2)利用者評価とは
利用者評価とは、利用者や家族に対してアンケート調査を行い、利用者や家族の満足度を把握することです。
この2つの評価を組み合わせたものが「介護サービス評価」です。
2. 地域密着型サービス外部評価
地域密着型サービス外部評価には、評価機関による外部評価と介護医療連携推進会議または運営推進会議での評価があります。
評価機関による外部評価では、事業所自らの自己評価を基に、訪問調査員が事業所を訪問して調査を行い、事業所の優れている点、今後取り組むべき課題を明らかにしていきます。 この評価は認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)が対象です。なお、神奈川県では現在4法人が評価機関として選定されています。
介護医療連携推進会議または運営推進会議での評価は、事業所が自ら自己評価を行うことは「評価機関による外部評価」と同じですが、その後、会議のメンバーにより評価が行われます。こちらは定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護の3サービスが対象です。
どちらの評価も原則として年1回の受審義務があります。
画一的な評価基準で事業所の良し悪しを判定するのではなく、事業所の現在の状態に応じて事業所が取り組むべき「目標」を調査者と事業所が一緒に考えていくことが特徴です。
3. 特定施設外部評価
特定施設外部評価は、特定施設を対象とした外部評価です。
特定施設における介護サービス評価のねらい
- 利用者及び家族の安心と満足を図ること
- 特定施設で提供される介護サービスを一定水準以上に維持すること
- 改善点を明確にし、改善に向けた関係者の自発的努力と体制作りを促すこと
- 継続的な評価を行うことを通じて、職員の教育的効果を狙うこと
- 特定施設における社会的信頼を高めること
特定施設は、外部評価結果や利用者評価結果をもとに介護サービスの改善点を把握でき、その対応を進めることができる。
評価の流れ
特定施設評価は、受審を希望する施設や事業所が評価機関に依頼して契約を締結したところから始まります。
その流れは、次図のとおりです。
外部評価の流れ
評価機関は、事前調査(自己評価等)の調査結果を集計・分析し、サービス事業者に訪問調査を行います。調査後、評価審査会(学識、福祉専門家、利用者代表 等)で評価結果を総合的に審査し、結果をサービス事業者に送付します。評価結果確定後、評価結果は、「介護情報サービスかながわ」や「かなふく評価ガイド」等で公表することもできます。
1. 事前調査
事前調査は、訪問調査を円滑に実施するために行います。外部評価結果の精度を高めるためには、事前調査をしっかりおこなうことが重要です。事業所の管理者とその職員が合議して「自己評価調査」を実施します。
2. 訪問調査の実施
訪問調査では、評価対象施設を調査員が訪問し、調査項目に従って項目ごとの目標水準に対する達成度合を測定します。訪問調査当日の標準的な内容は次のとおりです。
訪問調査のプロセス
- 外部評価及び訪問調査の趣旨説明及び調査スケジュールの説明。
- 評価項目に沿って取組状況及び達成状況の確認。
- 施設内の環境、設備や全体の雰囲気を把握するための視察。
- 管理者等が席を外し、職員のヒアリング。
- 入居者本人へのヒアリング
- 管理者等と総括ヒアリング
3. 調査結果の取りまとめ
訪問調査を終了したら、評価機関が調査結果報告書を作成します。その後、外部の有識者から構成される特定施設外部評価審査会で調査内容について審議され、評価結果について取りまとめます。
4. 評価結果の確認
評価機関より調査結果報告書を事業所に送付します。事業所は内容を確認し、必要があれば意見書を提出します。受審事業所と評価機関の両者が合意した時点で評価結果が確定となります。
5. 評価結果の公表
調査内容及び評価結果について公開を希望する場合には、『かながわ福祉情報コミュニティー』内の「介護情報サービスかながわ」の中で、評価結果を公表します。(外部評価項目の結果についてのみの公表となります)
4. 第三者評価とは
社会福祉法人等の提供する福祉サービスの質を事業者及び利用者以外の公正・中立な第三者機関が専門的かつ客観的な立場から行う評価を第三者評価といいます。
福祉サービス第三者評価の意義は、2つ考えられます。一つは、福祉サービスの質の向上です。もう一つは、評価結果を公表することにより、利用者の選択を支援することです。
- 1. 福祉サービスの質の向上
- 事業者のサービス改善等の取組みを促進し、利用者が質の高いサービスを利用できるよう、サービスの質の向上を図ること。
- 2. 福祉サービスの選択支援
- 第三者評価結果の公表により、利用者が自分に合った質の高いサービスを選択できるよう支援すること。
福祉サービスの第三者評価の結果については、かながわ福祉サービス第三者評価推進機構のホームページで公表されています。
評価にかかる社会福祉法の規定
(福祉サービスの質の向上のための措置等)
第78条
社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。
国は、社会福祉事業の経営者が行う福祉サービスの質の向上のための措置を援助するために、福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講ずるよう努めなければならない。